マインドフルネスといえば、自分の呼吸に意識を向けて行うイメージを抱く方も多いはず。目を閉じてじっとしている「瞑想」をイメージする方も多いでしょう。
しかし、マインドフルネスで意識を向けるところは呼吸だけではありません。食事に意識を向ける“マインドフルイーティング”も、心をリラックスさせ、自律神経のバランスを整えるなどうれしい効果がたくさんあります。
今回はマインドフルイーティングの効果や簡単に始められるやり方について、神経内科・内科医で医学博士の山下あきこ先生にお話を伺いました。
マインドフルイーティングとはなにか
マインドフルイーティングのさまざまな効果
ティータイムに取り入れる簡単なマインドフルイーティング
マインドフルイーティングとは食事に意識を向けて、じっくり味わって食べることをいいます。
忙しい生活を送っていると食事中にスマートフォンを見たり、テレビを見ながら食事をしたりする方もいます。
マインドフルイーティングでは、このように食事が片手間になるような状況を避け、脳を休めながら食事を摂ります。
マインドフルイーティングでは食べ物の匂い、味、食感などをじっくり楽しみながら食事をします。そのため、食事のスピードが落ちることで胃酸の分泌量が増え、消化に負担がかかりにくくなります。
また、ゆっくり食事を味わうことでストレスホルモンである「コルチゾール」を減らすことができ、脂肪を溜め込みにくい、痩せやすい体質をめざせるほか、満腹ホルモン「レプチン」が分泌されることによって食べすぎを予防できます。
マインドフルイーティングに慣れるまでは、日頃の習慣などから無意識のうちに食事のスピードが上がり、あっという間に食べ終わってしまう方もいることでしょう。
そのような場合には、食事を始める前にゆっくり鼻から吸って吐く深呼吸を取り入れてみることをおすすめします。食事前の深呼吸に意識を向けると自律神経のバランスが整い、ゆっくり食事をしやすくなります。
自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位の状態で食事を始めると、ガツガツと食べてしまう、食欲が抑えられないなどの状態に陥ることもあります。まずは深呼吸を取り入れ、リラックスして食事を楽しんでみてくださいね。
まずはコーヒー、紅茶などを楽しむティータイムに、マインドフルイーティングを行うことがおすすめです。
仕事や家事の合間にコーヒーを楽しむとき、一度そこに意識を集中させてみましょう。コーヒーを飲みながら「温かいな」「いい香りだな」など、状態や気持ちの変化を感じることによって、休憩時間をマインドフルに楽しむことができ、リフレッシュにつながります。
毎日の食事にマインドフルイーティングを取り入れるときは、食事中にスマートフォンやテレビを見ないようにして、食事の最初の1口をじっくり味わってみるところから始めてみましょう。
また食事中は無意識のうちに口の中に食べ物が入ったまま、次の食べ物に手を伸ばしていることがあります。そのため一口食べたら箸を置き、食べ物をしっかり飲み込んでから次の食べ物をとることを意識してみるとよいでしょう。
日々忙しい生活を送っていると食事のスピードが上がりやすく、テレビを見ながら食事をするなど「ながら食べ」をしがちです。疲れているときこそマインドフルイーティングを取り入れ、ゆっくり食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。
忙しくて時間が取れないときは、まず仕事や家事の合間のティータイムで気軽に実践してみましょう。
食事に意識を向け、香りや味を楽しむマインドフルイーティング
食事に時間をかけることで消化がよくなり、食べすぎ防止などの効果もある
休憩時間のコーヒーに意識を向けることで簡単にマインドフルイーティングができる
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「やせる呼吸 脳科学専門医が教えるマインドフルネス ・ダイエット」