「慢性的に不調がある」「病院に行っても改善しない……」など、心や体のトラブルを感じている人も多いのではないでしょうか。
疲労やストレスなど、無理のある生活を続けている人は、気づかぬうちに体内で炎症が起こっているかもしれません。
そこで今回は、漢方薬剤師として活躍する大久保愛先生に「誰にでも炎症は起こっている」というテーマでお話を伺いました。
現代人が炎症を避けられれない理由
体内で炎症が起こってしまう原因
40代からの女性の炎症ケア方法
心や体に慢性的な不調がある人は、体内で炎症を起こしている可能性が考えられます。
炎症とは、免疫の働きによってダメージから体を守る防御反応のこと。
炎症は痛みや腫れなどを起こして異常を知らせてくれるので、体にとって必要な反応です。しかし、慢性的な炎症が起こるとさまざまな病気や悪化の原因になることも。
毎日の生活が忙しく、ついコンビニやファストフードに頼ってしまう人も多いのではないでしょうか?お惣菜や外食は、炎症を起こしやすい食べ物が多いので、食べ物のチョイスには注意が必要です。
上記の他にも、気にし始めるとキリがないくらい多く存在します。すべてを完璧に避けるのはむずかしいので、やはり炎症はほとんどの現代人に起きているといえるでしょう。
慢性的な炎症は、体にさまざまな悪影響を及ぼします。では、そもそも炎症はどうして起こるのでしょうか。
「タイトジャンクション」とは、腸壁の細胞間が密着している状態のこと。
腸では通常、体に悪いものを取り込まないように細胞を密着させています。しかし炎症が起こると細胞間の密着(タイトジャンクション)がゆるんでしまうため、体に悪いものの吸収を避けられません。
腸壁のタイトジャンクションがゆるむと、未消化物など体に悪いものまで吸収して肝臓へ送られます。
肝臓で解毒できないと、今度は胆汁とともに腸へ戻ってきます。悪いものが循環しているので血中に毒素が巡り、体内の至るところに送られて炎症を起こしてしまうのです。
タイトジャンクションのゆるみによって吸収された毒素は、血液とともに全身を巡ります。すると体のいたるところで炎症が起こり、さらに疲労やストレスが炎症を広げてしまうのです。
最初は小さな症状だったものが、免疫力の低下やストレスによって「癌」「腎臓病」などの大きい病気を引き起こす可能性があります。
40〜60代は小さな炎症が大きな病気に派生しやすいので、特に注意が必要です。
精製された糖質は悪玉菌の餌になってしまうため、過剰摂取すると腸内環境の悪化につながります。
特に、腸内環境が悪化すると腸内で「カンジダ菌」という真菌が増殖することも。するとアセトアルデヒド(有害物質)の発生や肝臓の負担など、腸内でさまざまな悪さを引き起こします。
40代の女性は仕事や子育てなどで忙しい人が多く、自分の体に対して乱暴に過ごしがち。しかし無理をすると取り返しがつかなくなるので、辛くなったら早めにケアすることが大切です。
女性は40歳前後から、ホルモンバランスの乱れや更年期の症状が起こります。
骨密度の低下や筋肉の減少など、さまざまな老化が際立ってくる年代です。30代までならすぐに改善できたところも、40代を迎えると短期的な改善は難しくなります。
しかし40代を過ぎてからでも、不調を感じたタイミングで早めにケアすれば修復力は高められるはずです。変化に気づいたら早めに対処して、長期的に根気よく改善をめざしましょう。
更年期世代の女性は、漢方や食薬を取り入れるのがおすすめです。
東洋医学では、心と体のバランスを整えてケアしていきます。西洋医学で病名がつかないような症状や悩み、心のゆらぎなども、漢方でケアできるのが特徴です。
食薬は、漢方や栄養学の考え方をベースに腸を整える食事法のことをいいます。食薬は家庭でも気軽に取り入れられるので、ぜひ今日から試してみてくださいね。
現代は炎症を起こしやすい生活環境にあり、放っておくと老化や大きな病気に繋がることも。
特に腸のタイトジャンクションがゆるくなると、体に悪いものが全身を巡って炎症が起こりやすくなるので注意が必要です。
しかし40代を過ぎてからでも、早めに気づいて改善すればケアしていくことが可能。漢方や食薬なども上手に取り入れながら、長期的に根気よくケアすることを心がけてみてくださいね。
現代人の食事や生活では炎症を避けるのがむずかしい
腸壁のタイトジャンクションがゆるむと炎症が起こりやすくなる
漢方や食薬などで早めに炎症ケアを行うことが大切
この記事の監修者
・生命科学研究家(薬剤師)
・漢方カウンセラー
・国際中医師 / 国際中医美容師
・アイカ製薬株式会社代表取締役
・漢方生薬研究所開発責任者
・一般社団法人腸内細菌検査協会理事
・株式会社東進メディカルアドバイザー