新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、テレビやメディアで注目されている「血中酸素濃度」。
血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターを自宅用に購入する人も増えているようです。しかし「どのくらいが正常値?」「息苦しくなければ大丈夫?」など、血中酸素濃度を測っても分からないことが多いですよね。
そこで今回は、医師の山下あきこ先生に「血中酸素濃度」についてお話を伺いました。
血中酸素濃度の正常値はどのくらい?
息苦しさがなくても血中酸素濃度を測るのはなぜ?
血中酸素濃度を測るために注意するべきこと
「血中酸素濃度」とは、血液に含まれる酸素量を数値化したもの。「血中酸素濃度」を測ることで、肺がしっかり機能して酸素を取り込めているかどうか調べられます。
血中酸素濃度を測るために使用するのが「パルスオキシメーター」という医療機器です。個人でも購入でき、自宅で気軽に血中酸素濃度をチェックできます。
パルスオキシメーターはシンプルな機械なので、使い方はとても簡単です。
▼血中酸素濃度の測り方
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メーカーによって表示方法は異なりますが、SpO2と表示されているものが血中酸素濃度(酸素飽和度)です。脈拍も同時に計測するので、PRと表示されているところに心拍数が出ます。
血中酸素濃度の正常値は「96〜99%」です。
「95%未満」まで下がってきたら、血中酸素濃度が低いので注意してください。
ただし、血中酸素濃度はちょっとしたことで下がることもあります。普段から血中酸素濃度を測り、落ち着いているときの数値を記録しておくことが大切です。
また、最近では血中酸素濃度を計測できるウェアラブルデバイスも増えています。医療機器ではないので思った以上に低い数字が出るケースも多いようです。不調になる前から使っておくと、その利用しているデバイスでの平時の平均値を知ることができます。平時の数字より下がった状態になっていないか見極めるようにするのがいいでしょう。
息苦しさを感じないのに、血中酸素濃度の数値が低い場合は要注意。
「幸せな低酸素症(Happy Hypoxia)」といわれている症状で、肺炎が徐々に広がっていくときに起こります。新型コロナウイルス感染症で起こりやすいことが分かっている症状です。
息苦しさがなくても、血中酸素濃度が「92〜90%」くらいまで下がっていたら危ないと思うようにしてください。かかりつけの医師や保健所に連絡しましょう。
爪に色がついていると、正しい数値を測れない場合があります。
ネイルカラーや変色があると、血中酸素濃度を正確に測れない場合があります。
なぜなら、パルスオキシメーターは爪から赤外線を通し、血液の「色」から血中酸素濃度を測っているからです。
ジェルネイルやスカルプなど、厚みのあるネイルも正しく計測できない場合があります。新型コロナウィルス感染症が落ち着くまでは、派手なネイルは控えたほうがいいでしょう。
ネイルをつけていても、血中酸素濃度を測ることは可能です。
▼ネイルしたまま血中酸素濃度を測る方法
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血中酸素濃度は足の爪でも計測できます。手や足にネイルをつけたい場合は、足の指にネイルをしていない箇所を作っておきましょう。
血中酸素濃度の正常値を出すためには、ネイル以外にも気をつけなければならないポイントがあります。
冷え性で指先が冷たくなっているときは、血中酸素濃度を正確に測れません。
なぜなら、指先の血流が悪くなっているので、パルスオキシメーターの赤外線が血液を抜けにくいからです。
指先が冷たいときは、温めたり揉んだりして末梢の循環をよくしてから測りましょう。
市販のパルスオキシメーターは、粗悪品が出回っていることもあるので要注意。安価すぎる機種だと数値が不正確だったり、すぐに壊れたりすることがあります。
安価すぎるものは避け、信頼できるメーカーのパルスオキシメーターを購入するのがおすすめです。
血中酸素濃度を日頃から測っておくことで、自覚症状がない不調にもいち早く気付けるようになります。
息苦しさがなくても、血中酸素濃度が90%以下になってしまったときはすぐに医療機関に相談してください。
ただし家庭用のパルスオキシメーターは、ネイルカラーや冷えなどで正確な数値が出ないこともあります。正確に測るためのポイントを押さえて計測し、血中酸素濃度を毎日の健康管理に役立てましょう。
血中酸素濃度が96〜99なら正常値
血中酸素濃度が低下しても息苦しくない場合がある
ネイルや冷えで血中酸素濃度の正常値が測れないこともある