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細胞が入れ替わる?!オートファジーの3つの重要な機能とは?オートファジー研究第一人者の吉森保博士が解説!

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2024年こそ健康な身体をキープしたい、そうお考えのあなたへ

バランスの取れた食生活や適度な運動、質の良い睡眠は、健康な身体や肌を保つために非常に重要です。

しかしながら、忙しい日々の中でどれも完璧にこなすことは難しいはず。そんな時に、考えたいのが、サプリメントで不足している栄養を補うことです。

2024年は健康な身体をキープしたい、そうお考えの方はぜひこの機会に検討してみましょう。

「オートファジー」と聞くと、新しいダイエットの一種かな?と勘違い知している人もいるかもしれません。

実はこの「オートファジー」、わたしたちの体の中で非常に重要な役割を持つ働きなんです。

今回の記事では、オートファジーの体内での主な働き3つについて、長年オートファジーの研究を取り組んでいる吉森 保先生に教えて頂きました。

この記事でわかること

オートファジーの3つの重要な役割とは?
健康寿命を伸ばす鍵となる「オートファジー」
オートファジーは加齢で低下する?低下を防ぐには

オートファジーとは

オートファジーとは、わたしたちの体を形作る「細胞」の機能を維持するための重要な働き。詳しい説明はまず、こちらの記事をご覧ください。

オートファジーについて詳しく知りたい方はこちら

オートファジーの3つの重要な役割

「オートファジーとは何か?」がわかったところで、ここからはたくさんあるオートファジーの重要な役割から3つをピックアップして説明します。

オートファジーの役割①:細胞の一部を自分で分解

「タコがお腹が空くと自分の足を食べてしまう」という話をご存知でしょうか?

細胞も同じく、周りに栄養がなくなってしまうと自分の細胞の一部を分解して栄養にすることができます。この役割をオートファジーが担っています。

オートファジーの役割②:細胞の新陳代謝

次に重要な役割として、「細胞の新陳代謝」が挙げられます。

人間は1日平均的に70gのタンパク質を摂取しているのですが、細胞自体もタンパク質を作り出しています。この細胞から作られるタンパク質の量は1日240g。

そのため、口から摂取するタンパク質だけでは細胞が作り出すための栄養が足りない計算になてしまいます。

そこで、オートファジーが自分のタンパク質を分解してアミノ酸を作るのです。

毎日部品を新品の状態にしている


このオートファジーの機能をわかりやすく、車の部品に例えてご説明します。

車を新車の状態で買ったとして10年経つと中古車になってしまい、部品も古くなってしまいます。しかし、もし毎日部品を新品に交換していたら数十日すれば新品の状態に戻ります。

この部品を常に新しい状態に交換している役割を果たしているのが「オートファジー」なのです。オートファジーは毎日ランダムに数パーセントの成分を壊し、その壊したものを使ってそこからまた新しい部品を作っています。

古い細胞が死んで、新しい細胞が生まれている

例えばタンパク質の場合アミノ酸に分解されるのですが、そのアミノ酸でタンパク質が作られるため、この作り出されたものは新品のタンパク質になります。

すると、細胞自体も何十日か経過すると生まれたての細胞のようになるわけです。つまり、細胞がいつも新車の状態を保っているということ。これが新陳代謝の働きです。

新陳代謝というと皮膚を思い浮かべる人が多いですが、皮膚は新陳代謝で新しくなっています。この皮膚の働きも古い細胞が死んで、新しい細胞が生まれている状態のことを指します。

ただし、人間の細胞でも神経や心臓の細胞は一生の間入れ替わることはないため、ずっと同じ細胞を使わなければいけないのです。

そのためそうした細胞の「中身」を入れ替えることが重要なポイントになります。この「細胞の中身の入れ替え」がうまくいかなくなると、アルツハイマー病のリスクにつながったりするのです。

オートファジーの役割③:有害物質の除去


そしてオートファジーの重要な役割のひとつとして、「有害物質の除去」があります。

細胞は自動的に入れ替えを行っていますが、細胞の中にはしばしば有害なものも現れます。例えばわかりやすいのは、ウイルスやバクテリアなどの細胞の中に入り込んで病気を起こす病原体です。

また病気の原因になる異常タンパク質は、アルツハイマー病やパーキンソン病を招く物質。これはアルツハイマー病やパーキンソン病などの脳の病気でよく見られます。

このような脳の病気はタンパク質の塊ができることで細胞が死んでしまうことにより引き起こされることがわかっています。

細胞を壊す活性酸素をオートファジーが除去

ほかにも細胞の中には、様々な理由で壊れた細胞小器官が現れます。

これは例えると細胞社会の建物のようなもので、壊れてしまうと危険です。

みなさん、ミトコンドリアという名前を聞いたことがあるかもしれません。これは細胞内小器官のことで、細胞社会では発電所の役割を担っています。

しかし、この発電所が壊れてしまうと大変なことになるように、細胞の中でもこのミトコンドリアが壊れると「活性酸素」と呼ばれる物質が漏れ出して、細胞を傷つけたり、殺してしまったりするのです。

このように活性酸素は非常に毒性の高い物質なのですが、ここで「オートファジー」が登場し、壊れたミトコンドリアを狙い撃ちして除去します。オートファジーには常に悪いものが出ていないか見張る仕組みがあり、壊れたミトコンドリアのような危険なものが現れると即時に処分してくれる働きがあります。

オートファジーを妨害するウイルスも存在する


オートファジーは細胞内に侵入した病原体もやっつけてくれるため、免疫機能に大しても非常に重要な役割を果たしています。

しかし、実はこのオートファジーの働きを妨害するウイルスも存在しています。

例えばコロナウイルスはオートファジーを妨害する働きを持っています。この妨害する仕組みは現在研究室で調査中です。

この仕組みが判明すれば新型コロナウイルスがオートファジーを妨害することを妨害できるかもしれません。これは、ワクチンと異なり、感染を予防するものではありませんが、感染したときにオートファジーが攻撃することで重症化を防ぐことができるのでは?という期待が持てます。

有病率の高い日本人の健康寿命を伸ばす鍵となる「オートファジー」

日本は世界で見ても平均寿命の高い国ですが、実は有病率、つまり病気にかかっている人の割合は非常に高いのです。

そのため、寝たきりにならずに健康に過ごせる年齢を寿命とすると70歳くらいとなります。その後の最後の10年間は寝たきりの状態になる人が多いのです。

そこで大切なのが、「健康寿命を伸ばす」こと。誰しもが病気にかかって長生きするよりも、健康な状態で長生きしたいと思うでしょう。

オートファジーを活性化することができれば、「健康寿命を伸ばせるのではないか」ということもわかってきました。

オートファジーを向上させるには「スペルミジン」を

加齢によって低下してしまうオートファジーをどうすれば食い止められるのでしょうか?その鍵となるのは、「スペルミジン」と呼ばれる食品成分です。

このスペルミジンは納豆などに含まれる成分で、オートファジーを上げる働きがあることがわかっています。オートファジーは加齢によって低下してしまうなら、もうどうしようもないのかな…。と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

天然食品成分としてオートファジーを向上させる成分が存在しているため、サプリメントなどの形で取り入れることも可能です。スペルミジンの他にも注目される成分があります。

適度な運動や腹八分目の食事を心がけることも大切

食品成分でオートファジーを上げる成分を摂取するだけでなく、適度な運動をすることでもオートファジーが活性化することもわかっています。

ほかにも脂っこいものを取りすぎない食事を心がけることも大切です。

また、寿命の延長という意味ではカロリー制限がおすすめです。とはいえ、極端なカロリー制限ではなく、「腹八分目」の食事を意識することでオートファジーが上がることがわかっています。

健康寿命を伸ばすならオートファジーを低下させない生活を!

オートファジーは細胞の生まれ変わりや有害物質の除去を行う、体内でも重要な機能を持っています。

年齢を重ねても健康で元気に過ごしたい人にとっては注目のキーワードになるのではないでしょうか。

加齢で低下することがわかっているオートファジーですが、オートファジーを上げる成分や活性化させることがわかっている運動を取り入れて、健康的な毎日を目指しましょう!

この記事でわかったこと

オートファジーは細胞の部品を分解することで新陳代謝を促し、また細胞内の有害物質を除去する働きがある
オートファジーが低下しないと病気になるリスクを防げることがわかっている
加齢で低下するオートファジーは食品成分で補ったり、運動などで活性化させることが大切

▼吉森先生の動画をYouTubeで見たい方はこちら

最終更新日:2021.10.30

2024年こそ健康な身体をキープしたい、そうお考えのあなたへ

バランスの取れた食生活や適度な運動、質の良い睡眠は、健康な身体や肌を保つために非常に重要です。

しかしながら、忙しい日々の中でどれも完璧にこなすことは難しいはず。そんな時に、考えたいのが、サプリメントで不足している栄養を補うことです。

2024年は健康な身体をキープしたい、そうお考えの方はぜひこの機会に検討してみましょう。

この記事の監修者

吉森 保

・大阪大学大学院生命機能研究科教授
・医学系研究科教授
・生物科学者
・医学博士

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