更年期世代に近づいて「更年期が怖い」「更年期の症状が不安」と感じている人も多いのではないでしょうか。
多くの女性が更年期症状を感じるものですが、実はセルフケアを行えば更年期を軽く過ごすことは可能です。事前に心構えをして日常生活のコツをつかめば、更年期を快適に過ごせます。
そこで今回は、更年期トータルケアインストラクターの永田京子先生に「更年期を軽くする方法」について教えていただきました。
運動で更年期を軽くする方法
食事で更年期を軽くする方法
睡眠で更年期を軽くする方法
更年期を軽くする方法の基本は「運動・食事・睡眠」です。
更年期には、女性ホルモンが上がったり下がったりしながら、徐々に低下していきます。女性ホルモン低下と自律神経の乱れで心身に様々な不調が起こるのですが、生活習慣を改善し、自律神経を整える方法に取り組むことで、更年期の体調をよくすることができます。
毎日のスキンケアと同じような感覚で、更年期の心と体を気軽にケアしていきましょう!
健康で快適な体を作るためには運動が欠かせません。無理のない範囲で、少しずつ身体を動かす習慣を意識してみましょう。
更年期や健康全般の基礎として「運動がいい」と分かっていても、本格的にトレーニングを始めるのは億劫と感じる方も多いのではないでしょうか。
運動を継続するのが苦手な人は、日常生活の中で「身体を動かす方を選ぶ」という方法を試してみてください。「エレベーターか階段か迷ったら階段を選ぶ」「1駅くらいの距離なら車じゃなくて歩く」など、自分にとって無理のない範囲で大丈夫です。
「信号待ちの時間に伸びをしてみる」「歯磨きしながらかかとを上げ下げしてみる」など、ちょっとしたことの積み重ねが筋力アップにつながります。週1回1時間の筋トレ時間よりも、残りの6日間と23時間を意識して身体を動かす方が効果的かつ続けやすいのです。
更年期は、筋力が大きく低下し始める時期です。
そのまま運動をしないでいると、将来寝たきりになってしまうかもしれません。実は、日本人女性は世界一の寿命を誇る反面、世界一寝たきりの期間が長いのです。
更年期の体力づくりは、この時期を快適にすることはもちろん、この先の人生を快適に過ごす土台作りにつながります。目先のことだけでなく、広い視野を持って体づくりを始めませんか?
食事は、バランスよく食べるのが基本。更年期は「抗酸化作用のある食品」がいいとされますが、特定食品ばかり食べるよりも栄養バランスを意識することが大切です。
「タンパク質」は、身体を作るためにとても大切な栄養素です。
タンパク質が不足すると筋肉が衰えるだけでなく、美しい肌や髪の毛まで損なわれてしまいます。健康的な体を維持するために必要な栄養なので、1食あたり手のひら一枚分を目安に「タンパク質」を摂るといいでしょう。
更年期からは積極的に「カルシウム」を摂ることも重要です。
女性ホルモンは骨が溶けるのを防ぐ役割があります。そのため、女性ホルモンが低下する更年期以降は骨密度が低下しやすくなるので注意が必要。骨粗鬆症を予防するためにも、積極的に「カルシウム」を含めた、栄養バランスのいい食事を心がけましょう。
カルシウムの吸収をよくする栄養素は「ビタミンD」です。「ビタミンD」は太陽にあたることで作られるほか、きのこ類やサケ・マグロ・サバなどをバランスよく食べることで摂取できます。
女性ホルモンと似た働きをする食材もあります。
大豆製品に含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモン「エストロゲン」と化学構造が似ています。
また、亜麻仁油に含まれる「リグナン」という成分も、女性ホルモンに似た働きがあることがわかっています。
食生活にバランスよく取り入れることで、更年期の不調の改善や美容へのうれしい効果が期待できますよ。
更年期のランチにおすすめなのが「納豆アボカド丼(亜麻仁油ちょっとのせ)」です。
加熱の必要もなく手軽に作れますし、リーズナブル。手間がかからないのに、更年期に必要な栄養がたっぷりで、忙しいときの朝食やランチにぴったりです。
「納豆アボカド丼(亜麻仁油ちょっとのせ)」は更年期スーパーフード、食べる美容液といっても過言ではありません。健康と美容のためによければ試してみてくださいね。
質のいい睡眠は、メンタル面の安定に必要不可欠。よく眠れると体の回復だけでなく、心までスッキリします。生活リズムを整えることも大切ですが、ここでは睡眠のための脳にうれしいワークをご紹介していきます。
更年期は精神的な不調も感じやすく、イライラや不安感で眠れなくなってしまうことも少なくありません。
心がツラいときは「寝る前によかったことを3つ挙げる」というワークを試してみましょう。
人間の脳は、テーマを持つとそれに関連する情報を勝手にキャッチしてくる習性があります。そこで「よかったこと」というテーマを意図的に持たせることで、イライラや不安感よりもポジティブな情報をキャッチしやすくすることができます。
寝る前には、心配事は脳の中から追い出しましょう。ポジティブな出来事に目が向いたり、気持ちが落ち着けば脳も安心して眠りやすくなります。
どうしてもネガティブになってしまうときは、無理にいいことを考えなくて大丈夫。
その代わり「まあいっか」と口に出してみてください。すると、肩の力がスッと抜けて心が楽になるはずです。
「まあいっか」は、完璧を求めすぎず、今ある自分をすべて肯定する言葉。誰でもお金をかけずに今すぐできることですから、試してみて損はないはず!ポイントは言葉に出していうことです。ぜひ試してみてくださいね。
更年期の不調のケアは、まずは「運動・食事・睡眠」といった、生活習慣の改善から取り組んでみましょう。
身体のベースを整えることで、女性ホルモンの変動にも気づきやすく、うまくホルモン変化の波乗りができるようになりますよ。毎日の積み重ねは、更年期の不調改善だけでなく、将来の健康寿命を伸ばすことにもつながります。
不安定になってしまう心も優しく受け止めながら、「今は自分の心や体をいたわる時期なんだ」とゆとりを持って過ごすと良いでしょう。
「身体を動かす方を選ぶ」の積み重ねが体力・筋力アップにつながる
タンパク質やカルシウムを中心にバランスよく栄養を摂ることが大切
脳の習性を利用してメンタルケアをすることで睡眠も改善できる