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注目の成分「エクソソーム」とは?細胞レベルの若返りの最新研究情報を知ろう!

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「美容液に入ってるエクソソームって、どんな働きがあるの?」「若返りに効果があるなら、エクソソームを取り入れてみたい!」など……「エクソソーム」という成分に関心が高まっているのではないでしょうか?

ヒト幹細胞培養液の美容液や若返りをサポートするサプリメントなどに、「エクソソーム」が配合されているのを多く見かけるようになりました。美容医療にも活用されているので、なんとなく「美容やエイジングケアによさそう」と感じている方が多いかもしれません。

実は、「エクソソーム」は美容にはもちろん、健康な身体を保つためにも非常に重要な役割を果たしているんです。

そこで今回は、九州大学大学院農学研究院の片倉喜範教授に「エクソソームと若返り」について教えていただきました。少し専門的で難しい内容になりますが、世界的に先端の美容・健康の情報が分かる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること

エクソソームとは?
エクソソームの分泌を促す方法
アンチエイジング食品の考え方

今話題の「エクソソーム」ってどんなもの?

化粧品やサプリメントなどに配合され、注目を集めている「エクソソーム」。

美容に関心の高い方なら、「エクソソーム」という名前を見たことがあるかもしれません。美しさをサポートしてくれる「エクソソーム」ですが、実は再生医療や遺伝子治療にも利活用が期待できる物質として、世界的に注目を集めているんです。

全身の若返りを実現するためにも、まずは「エクソソーム」がどのような物質なのか理解を深めていきましょう。

「エクソソーム」は情報を伝達する物質

「エクソソーム」とは、私たちの身体を構成する細胞から分泌される小胞です。

どうして細胞が「エクソソーム」を分泌しているのかというと、標的となる細胞に情報を伝達するため。「エクソソーム」の中には多くの遺伝子情報(mRNA、miRNAなど)が含まれており、標的となる細胞に情報を届けてさまざまな働きを促します。

食べて元気になれるのも「エクソソーム」のおかげ?

機能性の高い食品成分が全身に効果を発揮するのも、「エクソソーム」の働きが中心になっていると考えられています。

例えば食品成分の中には、食べることで脳機能や筋肉、皮膚など全身を改善させるものがあります。これは、食べたものの栄養が全身に直接届けられているわけではないんです。

食べ物が腸管に届き、腸管の細胞が「エクソソーム」を分泌して、腸管からの情報を「エクソソーム」が全身の細胞に届けます。「エクソソーム」によって届けられた情報を全身の細胞がキャッチし、食品成分の効果を作用させているようです。

運動すると筋肉の細胞から「エクソソーム」が分泌される

運動して筋肉が活性化されると、筋肉の細胞から「エクソソーム」が分泌されて神経細胞を活性化させることが分かりました。

「運動すると健康にいい」といわれますが、これも「エクソソーム」が関係しているのです。「エクソソーム」は数千種類あるといわれており、食事や運動など多様なアプローチで分泌を促すことが若返りにつながると考えられます。

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筋肉からの「エクソソーム」分泌を促す食品成分

健康や美容のためにも、運動して「エクソソーム」の分泌を促すのが効果的なことは分かっています。
しかし現代人は忙しい方が多いので、毎日運動するのはなかなか難しいですよね。そんなときは、筋肉機能を改善させるような成分を食品やサプリメントから取り入れることで、筋肉からの「エクソソーム」分泌を促すという方法もあります。

▼筋肉機能を改善する成分

  • ウロリチン
  • GABA
  • イミダゾールジペプチド
  • カルノシン

鶏胸肉の「カルノシン」は筋肉への活性が高い

鶏胸肉に含まれる「カルノシン」はとても活性が高い成分です。

アスリートが鶏胸肉をよく食べるのは、高タンパク・低脂質の食材であると同時に、筋肉への活性が非常に高いことを知っているから。

鶏胸肉は、日本では脂が多く旨味のある鶏もも肉よりも安く販売されています。しかし鶏胸肉の効果が広く知られている欧米では、鶏胸肉のほうが高く販売されているようです。

アンチエイジング食品の考え方

アンチエイジングに効果的な食品は、見た目の老化や病気の「予防」のために取り入れるのが最も重要なポイントです。

アンチエイジング食品を取り入れる目的は「予防・未病」

アンチエイジング食品を取り入れる主な目的は「予防」「未病」です。

「病気になったから」「シワができたから」といって、あとから取り入れて間に合うものではありません。

できるだけ早い段階から、毎日コツコツとアンチエイジング食材を取り入れていくことが大切です。アンチエイジング食品を日常生活に根気よく取り入れていくことが、いつまでも若々しい見た目と健康な身体を保つことに繋がっていきます。

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アンチエイジング食品は「薬」ではない

アンチエイジング食品は、薬ではありません。

薬は、病気と診断され、処方箋が出されて貰えるものです。

食品は老化や病気を事前に防ぐために取り入れるもので、効果としてはそれほど強くありません。しかしアンチエイジング状態を保つためには、弱くても効果的なものを普段から取り入れていくことが大切です。

日本におけるアンチエイジング研究の未来

日本のアンチエイジング研究は、世界的に見てもトップクラスです。日本におけるケーススタディが、世界の健康やアンチエイジングのモデルになっていくかもしれません。

老化予防は全身の細胞をケアすることが大切

「ウロリチン」や「NMN」など……サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化させる若返り成分が、片倉教授をはじめとする日本の研究者によって次々と発見されています。

細胞レベルで根本的にアプローチし、全身を若返らせていくというのが日本におけるアンチエイジングの先進的な考え方です。かつての「シミにはこれ」「病気にはこれ」といった部分的な対処ではなく、細胞から全身をケアしていくことの重要性が世界的に認められています。

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機能性食品という言葉を作ったのは日本

もともと、「機能性食品」という言葉を作ったのは日本です。

日本で研究開発された「機能性食品」が、「ファンクショナルフード」として世界に広がっていきました。つまり、食品の栄養には「機能」があるという考え方は日本からの発信なんです。

食品の機能を吸収して、媒介する「エクソソーム」が存在し、さまざまな幹細胞に作用していく……日本の研究によって、アンチエイジングを実現するための重要なことが多く解明されています。

見た目の若返りをめざすと寿命が伸びる?

新しい研究では、見た目と寿命は関係するという結果が報告されています。

なんと、見た目が若い人は長生きするそうです。健康が美しさを作ると考えられてきましたが、美しさから健康に影響することも分かってきました。

私たちが普段「年齢」として認識しているのは、誕生してからの時間経過を示す「暦年齢」です。しかし「暦年齢」と実際の老化状態や寿命は、関係なくなってきているのかもしれません。

美容のために効果的な食品やサプリメント、化粧品を取り入れることは、健康にも嬉しい効果をもたらします。やはり少しでも早い段階からアンチエイジングを意識して、生活習慣を整えていくとよいでしょう。

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「エクソソーム」は若返り・老化防止・未病に欠かせない情報伝達物質!

「エクソソーム」は細胞から分泌される小胞で、遺伝子情報などを伝達する物質です。

「エクソソーム」が細胞間のやりとりをサポートすることで、全身の細胞にさまざまな働きかけが行われます。アンチエイジング食品の機能も、腸管から分泌される「エクソソーム」が中心となって全身の細胞に情報伝達し、全身性の若返りを促していると考えられます。

アンチエイジング効果が期待できる食品は、老化予防・未病のために日頃から取り入れていくことが大切です。薬ではないので効果は弱いかもしれませんが、日常的に食べ続けることで若々しさを保ちやすくなります。

これからも、世界の先端をいく日本のアンチエイジング研究によって、さまざまなことが解明されていくはずです。新しい研究報告を期待しながら、今分かっているアンチエイジング方法をコツコツと実践し、見た目の若返りと健康寿命の延伸をめざしていきましょう!

この記事でわかったこと

エクソソームは細胞から分泌される小胞で、遺伝子情報を細胞へ伝達している
運動や食事で筋肉を活性化させると、筋肉の細胞からエクソソームが分泌される
予防・未病の目的で早いうちから日常的に効果的な食品を取り入れることが大事

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最終更新日:2023.02.16

この記事の監修者

片倉 喜範先生

・九州大学 大学院農学研究院 教授

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