目の前にあるデザートやお菓子を我慢するのは、なかなかむずかしいことです。そこまでお腹が空いていなくても、食べたくなってしまうことも。
しかし「やせる呼吸」を習慣化すると、脳の前頭葉のはたらきを高めることで、食欲の暴走を抑え、自分が本当に食べたい物を選んで食べることができるといいます。
今回は神経内科・内科医で医学博士の山下あきこ先生に、「やせる呼吸」とはどんなものなのか?また今日からできる簡単な呼吸方法についてお話しいただきました。
呼吸に意識を向けると痩せるって本当?
自分らしさにつながる“前頭葉”のはたらきとは
食事前の5秒でできる痩せる呼吸方法
今起きていることに意識を向けることを「マインドフルネス」といいますが、これを最も実践しやすいのが呼吸です。
自分の吸う呼吸・吐く呼吸に意識を向ける習慣がある人は、自分が本当に得たいものを選ぶ力が育まれるため、食べ過ぎを防止し、自然と体にいい食べ物を選べるようになっていきます。これが、健康的な痩せ体質につながっていくのです。
脳科学的に見ると、意図的に呼吸に意識を向けることで脳の前頭葉という部分のはたらきが高まり、人間らしい理性のある判断ができるようになります。目先の事柄だけをみて判断するのではなく、将来のために計画性を持った判断ができるようになるのです。
これによって、仮に目の前においしそうなお菓子があっても「今はお腹が空いていないからいらない」「健康のために、今日はやめておこう」などというコントロールが可能になります。
一番簡単な「やせる呼吸」は、食事を食べ始める前に深呼吸を取り入れること。「いただきます」のあとにいきなり食べ始めるのではなく、ゆっくりと深呼吸してから食事を開始してみましょう。
人間の本来の呼吸は鼻呼吸なので、鼻から吸って鼻から吐くのが理想的です。息を吸い込むのと同時にお腹の膨らみを感じ、吐くのと同時にお腹がしぼんでいくのを感じてみましょう。
1日3食の食事の前にこれを取り入れることによって、自律神経のバランスも整い、食べすぎの防止が期待できます。また継続すれば、前頭葉のはたらきを高めることができ、長期的な脳のトレーニングにもつながります。
この呼吸方法は間食したくなったときも有効です。「なにか食べたいな」と思ったら、まずゆっくり鼻から深呼吸をしてみて、もう一度自分に「本当に食べたいの?」と確認してみましょう。
呼吸をしてから落ち着いて考えてみると、お腹が空いていたわけではなく、実は「イライラが溜まっていてストレス発散したかった」などということも多いはず。このような場合には、一休みしてお茶を飲んでみるなど、食べ物以外で気分転換をするのもおすすめです。
また、コンビニなどで買い食いをすることが習慣になっている方も、コンビニに入る前にまずは深呼吸してみましょう。落ち着いた状態で、コンビニで買うものが本当にあるかどうか改めて考えてみると、冷静に判断できるかもしれません。
前頭葉のはたらきを高めることは食事のコントロールだけでなく、さまざまな場面で自分が本当に得たいものを選び取る意味でも大切です。
「マインドフルネスといっても、何から始めればいいの?」という方でも、食事前に深呼吸を取り入れるだけなら挑戦できる方が多いのではないでしょうか。
自分の呼吸に意識を傾け、気分を落ち着けてからゆっくり食事を楽しんでみてくださいね。
呼吸に意識を向けると前頭葉のはたらきが高まり、食べすぎの防止につながる
食事を始める前に鼻からゆっくり深呼吸するだけで、脳のトレーニングになる
間食したくなったときも、深呼吸してから本当に必要かよく考えることが大切
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「やせる呼吸 脳科学専門医が教えるマインドフルネス ・ダイエット」